18/10/2023 大西 宏佑 Manager
SATREPS/ロジャナ工業団地における洪水BCP対策ワークショップの報告
ロジャナ工業団地アユタヤは、多くの企業が集積するエリアとして、タイ経済の重要な生産拠点として機能しています。しかし、そのような重要なエリアだからこそ、2011年の洪水などの自然災害時におけるリスクも高まります。洪水時の被害を最小限に抑え、迅速に業務を再開するためのBCP(事業継続計画)は、地域全体の安全と経済活動の継続性を保つために必要不可欠です。
SATREPSの協力のもとロジャナ工業団地をモデルケースとしたワークショップが開催されました。このワークショップは、すでに2回目の開催となり、今後も継続して行われる予定です。
SATREPS(Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)は、日本の研究機関と開発途上国の研究機関が連携して、開発途上国における課題解決を目指すための研究活動を共同で行うプログラムです。このプログラムは日本の国際協力機構(JICA)と日本科学技術振興機構(JST)によって共同で実施されています。
SATREPSの主な特徴は以下の通りです:
- 開発途上国の課題解決を目的とした研究:環境、再生可能エネルギー、生物資源、感染症など、開発途上国での具体的な課題解決を目指した研究が行われます。
- 双方向の利益:開発途上国は科学技術のキャパシティビルディングや課題解決に向けた研究成果を得ることができ、一方、日本の研究者は新しい研究分野や研究成果の実用化の機会を得ることができます。
- 研究成果の実用化:研究だけで終わらず、得られた成果を実際に社会実装するためのフェーズも含まれています。これにより、研究成果が開発途上国の現地の社会や経済に実際に貢献することを目指しています。
このように、SATREPSは科学技術の力を用いて、開発途上国の持続可能な発展を支援するための重要なプログラムとして位置づけられています。
ワークショップの内容
今回のワークショップでは、日本の東京大学、慶應義塾大学、防災科学研究所、タイのチュラロンコン大学、灌漑局のデータを駆使した降雨シミュレーションを活用。これにより、10年に一度、あるいは100年に一度の大雨が降った場合の洪水リスクや、それに伴うBCPの発動タイミング、動き方などを企業ごとに具体的に検討しました。
参加者の学び
- 実際のリスクの可視化:シミュレーションを通じて、抽象的であった洪水リスクが具体的な数字や映像として示されることで、危機意識の向上が図られました。
- タイミングの重要性:大雨時の対応タイミングが、被害の大小を左右することの理解。早期の対応がどれだけ重要であるかを学びました。
- 連携の必要性:一企業単位での対策だけでなく、工業団地全体としての連携・協力の必要性を実感。共通のガイドラインや情報共有の重要性が認識されました。
今後の展開
このワークショップを通じて、ロジャナ工業団地と入居企業様は洪水対策に対する意識が一段と高まったと認識しております。今後は、定期的にこのようなワークショップを継続的に開催するとともに、具体的なアクションプランの策定や、実際の訓練の実施など、更なるBCPの強化を目指します。
結びとして、ロジャナ工業団地としては、入居企業の安全と事業の継続を最優先と考え、引き続き様々な取り組みを推進していく所存です。入居企業の皆様、そして関係者の皆様の更なる協力と支援を賜りますようお願い申し上げます。
参加は無料ですので詳細を知りたい企業様は以下のコンタクトフォームからご連絡をおねがいいたします。